積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所が行った調
査によると、「冬、家の中にいるにもかかわらず、寒いと感じることがあり
ますか?」という質問に、81%もの人が「ある」と回答したそうです。
暖房で暖めていても家の中が寒い理由は、暖かい空気が壁や屋根、開口部か
ら逃げているからです。下の図にあるように、流出する熱の45%は開口部か
ら出ていっています。一方、夏の冷房時は開口部から71%の熱が入ってきま
す。
快適な住環境をつくるには、環境に合った窓選びが重要です。

窓は、ガラスとサッシからできています。
窓に使用されるガラスについて考えてみましょう。
窓に使用されているガラスは、単板ガラス、複層ガラス、Low-E複層
ガラス、真空ガラスなどがあげられます。
単板ガラスとはその名の通り、通常の一枚ガラスのことでフロート板ガラス
とも呼ばれる一般的なものです。
複層ガラスは、複数枚の板ガラスを重ね、その間に乾燥空気やアルゴンガス
等を封入したガラスです。ガラスとガラスの間に空気などを挟むことによっ
て、単板ガラスよりも優れた断熱性をもっています。
Low-E複層ガラスとは、ガラスに特殊金属をコーティングし、断熱性と遮熱性
に優れたLow-Eガラスを使用した複層ガラスです。室外側にLow-Eガラスを使
用すると、夏の強い日差しをカットし、冷房効果を高めます。室内側に使用
すると、外からの冷気をシャットアウトし、室内の暖かさを逃がしません。

真空ガラスは、2枚のガラスの間に真空層を作って断熱性能を上げたものです。
真空層が0.2mmほどと非常に薄くガラスの厚みが薄くてすみます。
これらのガラスの性能差を熱貫流率(W/㎡・K)でみてみましょう。熱還流率
とは、どれだけ熱を伝えやすいかという値で、数値が小さければ小さいほど
熱を伝えにくくなり、断熱性能が高いということになります。
・単板ガラス 6.0(W/㎡・K)
・フロートペアガラス(FL3+A6+FL3) 3.4(W/㎡・K)
・フロートペアガラス(FL3+A12+FL3) 2.9(W/㎡・K)
・Low-E複層ガラス(FL3+A6+Low-E3) 2.6(W/㎡・K)
・Low-E複層ガラス(FL3+A12+Low-E3) 1.9(W/㎡・K)
※FL:フロート板ガラス、A:中空層
・真空ガラス(6.2㎜) 1.4(W/㎡・K)
単板ガラスと、最近の新築戸建てでの普及率が73%を超えるLow-E複層ガラス
では熱の伝えやすさが3倍も違います。
新築住宅を考えるときには、ガラスについてもこだわってみてください。
次は窓を構成するもう一つ部材、サッシについて紹介します。